エステサロン「PMK」(https://www.pmk-j.com/)は、設立が1991年、全国約30店舗を経営し、従業員数は約200名の中規模エステサロンです。
現在、PMKで働く在職の労働者と一緒に、労働環境改善を求めて、会社本社で社長と団体交渉を継続しています。また、原告4名で裁判も行っており、今年4月に東京地方裁判所で残業代不払い等について、会社へ約420万円の支払い命令が出て勝利し、今年6月には、労働基準監督署から、親睦会費の天引き、休憩未取得、残業代不払い、定期健康診断の未受診について法律違反が認定され、是正勧告(行政指導)も出ました。
その上で、今回、あるPMKの店舗の店長が、店舗ミーティングにおいて、ユニオンやユニオンに入った労働者を批判する話をしました。労働組合法では、社内でユニオンやユニオンに入った人を批判した場合、「支配介入」という違法行為になります。私たちは、会社に対して強く抗議するとともに、事実関係の確認、謝罪、社内に対する組合及び組合員の名誉回復等を求めています!PMK社内で同様の経験がある方は、相談や情報提供をお寄せください!
◆店長の発言内容
店長の発言は音声の録音がありますので、ポイントを書き起こすと以下の内容になります。店長は、店舗従業員全員が参加するミーティングで、組合や、裁判を起こした組合員を批判しています。
+++音声+++
(最近)雇用契約書をちゃんともらうことになったきっかけは、ここ数年に入社したスタッフが、中小の企業は雇用契約書を交わしていることが少ないけど、交わせていなかったところにつけこみ、(中略)(裁判で)訴えている(から)。
契約書へのサインなしをもって、1分単位で(残業代を)払えと言ってきている。(会社から)お金を頂いているにもかかわらず。
そもそもなんで今回(組合員が)訴えているかと言ったら、美容業界を標的にした組合がある。そこにつけこむって言ったらあれだけど、(中略)。個人では何もできないけど、この会社から取れるとなったら、組合は、一緒にやりましょうと言ってくる。ある意味、この人たち(組合員)も自分からというよりは、たまたまこういう人がいたからという感じ。
たかのゆり、ミスパリ、ジェイエステ、この業界で言われてないところはないくらい、標的をどんどん、すごいよね(笑)。
数ヶ月じゃなく、何年も働いているスタッフなら(エステの働き方は)わかると思うけど、組合がそこにつけこんでいると思う。(組合員は)かわいそうだなと思う。
+++音声+++
◆ 店長発言の問題点の整理
上記の店長発言には、多くの労働基準法、労働組合法に対する認識欠如が見られます。これだけ、労働問題が社会的注目を集める中、コンプライアンス遵守の意識がないと言わざるを得ません。まとめると、以下になります。
①雇用契約書の書面交付は労働基準法上の義務です
店長は、「交わせていなかったことにつけこみ、訴えっている」と主張していますが、そもそも、労働基準法では、雇用契約書を書面で渡さなければなりません。つけこんでいる訳ではなく、違法行為に対して正当な主張をしただけです。
事実、それも根拠となり、会社は裁判に負け、残業代の支払い命令を受けています。
②残業代請求は労働基準法上の正当な権利です
会社から「お金をいただいているにも関わらず」、残業代を請求するのはおかしいと店長は述べていますが、労働基準法では、残業については1分単位で計算し、割増賃金を支払うよう定めています。
それについては、会社は労働基準監督署から違法行為を認定され、行政指導も受けています。
③労働組合は、労働環境の改善に取り組む団体です
当然ですが、雇う側(会社)と雇われる側(労働者)は、対等な関係ではないので、対等な関係になり、労働環境の改善ができるようサポートするのが労働組合です。労働組合法でも定められています。
「つけこんでいる」訳でも、「この会社から取れる」となったらやっている訳でもありません。相談に来た労働者に残業代不払いがあったので、労働基準法に基づいて請求をしているだけです。
◆ 労働組合法違反の整理
今回の店長の行為は、労働組合法7条3号に定められた「支配介入」にあたり、労働組合法違反になります。
「支配介入」とは、労働組合の自主性、団結力、組織力を損なうおそれのある使用者の行為の類型であり、具体的には、使用者の組合運営に対する干渉行為や諸々の組合弱体化行為などを指しています。
今回の店長の発言は、上記に該当し、以下の東京都労働委員会(労働組合法違反を取り締まる行政機関)のホームページの赤枠と同様の事例です。
◆組合員のコメント
私は自分の働く会社の役職者がこのような発言をした事に対して大変情けなく感じました。
こちらが法律を知らなければ、今回の発言が違法かも分からず、聞き流していたかもしれないと思うと、知らない事は本当に怖い事だと思いました。
あたかも会社は正しく、被害者であるという発言。また、ユニオンやユニオンに入って主張している人は、お金が欲しくてしている、暇な人たちだよねという語りぶりでした。
周りの従業員は、ユニオンやユニオンに入っている人に悪い印象を当然持ちますし、店長の発言は職場ではとても強い影響力を持ちます。
今回録音した店長の発言には、法律などに対して、「私もよく分からないんだけどね」と笑っている部分もあり、分かっていないのにそのような発言をしている事に、恥ずかしくないのかなと思いました。
自分達の発言にはどれだけの力があるのか、本当に分かっていないんだと思います。
各店舗の店長の方々は、知らないということがどれだけ怖いことか、このような発言をしてしまったとしても、問題になるのは発言をした店長本人です。上からの指示が100%正しいことではないと、事の重大さに気付いて頂きたいです。
会社には、今回の件について、反省、改善、謝罪を求めます。
◆同様の問題で悩んでいる方はいませんか?
現在、私たちは、PMKと労働環境改善に向けた交渉をし、多くの改善も勝ち取っています!PMKはもちろん、エステ業界で働き、PMKの労働環境と同様の状況で悩んでいる方はいませんか?少しでも働いていて「おかしいな」と感じるところがありましたら、ご相談や情報提供をいただけましたら幸いです。在職中に改善することはもちろん、在職中から証拠の集め方などを相談しておいて、退職の際や退職後に会社に対して請求することも可能です。ちょっとした疑問から相談をお受けしていますので、ご検討ください。
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