2016年11月9日(水)、(株)東北医療器械(REジャパン、倒産済み)とその取締役らを訴えていた事件で、勝利和解が確定しましたので、詳細をご報告いたします。
◇東北医療器械事件とは
東北医療器械事件は、仙台や松島などのホテルや旅館にセラピスト(エステ・マッサージ)を派遣する東北医療器械(のちにREジャパンと改名)に勤務していた20代の男女6人が、同社と取締役15人を相手取り、未払い残業代と精神的苦痛に対する損害賠償などを求めて仙台地裁に提訴した事件です(詳細はこちらをご参照くださいhttp://blog.goo.ne.jp/sendai-posse/e/36f3ebc86531984482f3ed723231c614))。
この企業は若者を使い捨てにする、典型的な「ブラック企業」であり、また、求人と実際の労働条件が異なる「求人詐欺」も行っていました。そのため、「新規学卒者としての雇用機会を台無しにされ、専門学校で身につけたスキルやそのためのコストを無為にした」ことの責任を求めていました。若者を使いすてにすることを前提にした労務管理の是非を問うという意味において、全国初の裁判でした。
◇社長からの直接の謝罪文の入った画期的和解
この事件は、訴訟中に会社が倒産したため、取締役らの責任を追及して裁判を継続してきました。社長以外の取締役との和解は4月に成立しましたが、社長である木村かほる氏に対しては継続して責任追及を続けていました。それは、原告の方々の気持ちの中に、社長にきちんと責任をとらせたいという思いがあったからです。その結果、和解では、未払い賃金等に加え、社長からの直接の謝罪文も勝ち取ることができました。会社が倒産後も、諦めず裁判を続けてきたことが勝利和解につながりました。以下が、和解内容に記載された社長の謝罪文です。
「利害関係人木村かほるは、原告らに対し、利害関係人木村かほるが訴外株式会社東北医療器械代表取締役在任中に、同社がいわゆる新卒である原告らに対し実態とは異なる求人を出して雇い入れた上、長時間労働・残業代未払い等の違法な労務管理を行った結果、原告らが退職するに至ったことについて、同社の代表取締役の地位にあった者として謝罪する。」
○原告らのコメント「同じように困っている人の力になりたい」
「長い時間はかかったが、社長にきちんと責任を取らせることができてほっとしている。やってよかった」(Aさん)
「同じようにつらい思いをされてる人の力になりたいとおもって始めた。この結果が全国の人たちのためにもなればいいと思う。同じような思いをする人がゼロになるように、これからも頑張っていきたい」(Bさん)
今後も、エステ・ユニオンはエステ業界の労働環境改善に向けて活動していきます。職場環境にお悩みの方はいつでもお気軽にご相談ください。