5/28(日)の朝日新聞朝刊にエステ・ユニオン組合員の求人詐欺問題が掲載されました。
エステ業界では、求人内容と実際の労働条件が異なる、「求人詐欺」が広がっています。求人詐欺はブラック企業が実際の労働条件を明示すると人が集まらないため行うものです。今働いている会社が求人詐欺を行っていた場合は、ブラック企業の可能性がありますので、是非一度エステ・ユニオンまでご相談ください。
記事の中の会社の言い分には異議がありますが、まずはエステ・ユニオン組合員の問題が掲載された箇所について転載します。
■「求人詐欺」食い違う条件
東京の私大を卒業し、エステ店を展開する都内の企業に就職した20代の女性は精神疾患を発症し、昨年10月に休職に追い込まれた。女性側の説明はこうだ。
「基本給20万円プラス各種手当」「1年目の平均月給は25万円」。大手の就活サイトにこんな情報が載っていた。志望していた美容業界の中では「給料が高い方だ」と思い求人に応募。昨年4月、顔のマッサージなどの施術をする正社員として採用された。だが、入社式後に示された書面に書かれていた実際の待遇は「基本給15万1千円」。時給に換算すると908円。東京都の昨年9月までの最低賃金とほぼ同じ水準だった。
3カ月の研修を終え、都内の店で本格的に仕事が始まった。普段は午前10時に出勤し、お客のカルテの確認や清掃などの準備にかかる。午後1時の開店から9時の閉店まで施術を繰り返す。予約がびっしり入った日は8人に施術し、まとまった休憩時間が取れない日も多かった。1人あたり15分ほど自動の機械で施術する時間帯があり、この間にスタッフルームで昼食の仕出し弁当をかきこんだ。
閉店後も書類作成に追われ、退勤は11時ごろ。「過労死ライン」とされる月80時間ほどの残業が続いたという。いくら残業しても、支払われるのは月4万9千円の固定残業代だけ。就活サイトの情報とまるで違う内容に「ハテナ、ハテナが頭の中に浮かんだのですが……」。税や社会保険料、4万5千円の寮費などが差し引かれた後の手取りは大抵月12万円余り。それでも辞めようとは思わなかった。
「辞めても別の会社が採ってくれるのかと心配で」休日も友人に会う気力はなく、引きこもりがちになった。医者にかかると、「3カ月は休んだ方がいい」と言われ、診断書をもらった。その翌日から休職に入り、実家に戻った。
エステ業界の働き手が個人で加入する労働組合、エステ・ユニオンの事務局の佐藤学さんは「実際と異なる労働条件を示して社員を集める典型的な『求人詐欺』だ。固定残業代についても前提となる残業時間を働き手に明示していないと認識しており、違法の疑いがある」と訴える。
会社の代表者は取材に対し、「ネット上の求人情報の過去のデータは保存しておらず確認していないが、実際の給与額は採用時の個人面接などで説明した。固定残業代の前提となる労働時間数は、雇用契約書や就業規則に明記している」などと説明し、主張は食い違う。女性は同ユニオンの支援を受けながら、未払い賃金の支給などを求めて交渉を続けている。