私たちはこの間、株式会社スイート・ピアと団体交渉を続けて来ましたが、これまで労働問題の解決にいたらず、組合員2名が本日8月20日付で同社に対して労働審判を申し立てました。本日、これについて、代理人弁護士の指宿昭一弁護士、当事者の組合員Aさん、Bさんが、厚生労働省にて記者会見を行いました。
<写真:右から、指宿昭一弁護士、ユニオンスタッフ、Aさん、Bさん>
大手フィットネスクラブ内にてエステティックサロンを展開するスイート・ピアでは、過労死ラインを超える長時間労働があったにも関わらず、「基本給16万円、技術手当3万円、達成手当3万円」のほか、残業代がいっさい支払われていませんでした。
記者会見には多くのメディアが集まり、報道されましたので、以下にまとめました。
◆メディア報道一覧
1、TBSニュース
残業代求め労働審判申し立て、エステ店の元従業員2人
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye3452025.html
大手フィットネスクラブに店舗を置くエステサロンにエステティシャンとして働いていた20代の女性らが、残業代が支払われなかったとして東京地裁に労働審判を申し立てました。
「自分が働いた分の未払い賃金を請求することの、何がいけないのか自分にはわからないです」(元エステティシャンの女性[20代])
「朝から夜遅い時間まで休憩がほとんどない状態で働くので、体力的にも大変でした」(元エステティシャンの女性[20代])
申し立てを行ったのは、首都圏を中心にエステティックサロンを運営する「スイート・ピア」でエステティシャンとして働いていた20代の女性2人です。2人は3年前に入社し、多い月で「過労死ライン」に相当するおよそ80時間の時間外労働が発生していましたが、残業代が支払われなかったなどとして、会社側に対し合わせておよそ500万円の未払い賃金など支払うよう求めています。
申立人らによりますと、「スイート・ピア」は去年10月、残業代不払いで、労働基準監督署から是正勧告を受けていて、一部は支払われたということですが、その他については「固定残業代を支払っている」と主張しているということです。
「スイート・ピア」は「申立書を受け取っていないのでコメントは控えたい」としています。
2、共同通信
未払い残業代求め審判申し立て エステ店の元従業員2人
首都圏でエステ店を展開する「スイート・ピア」(東京都渋谷区)に勤めていた元従業員の20代の女性2人が20日、未払い残業代など計約500万円の支払いを求め、東京地裁に労働審判を申し立てた。同日、2人が加入する労働組合「エステ・ユニオン」が記者会見し明らかにした。
エステ・ユニオンによると、月の残業は「過労死ライン」に相当する約80時間に及ぶこともあったが、支払われたのは基本給に技術手当や達成手当だけで、残業代は出なかったとしている。
スイート・ピアの担当者は「申し立ての詳細が分からず現時点ではコメントできない」としている。
3、毎日新聞
エステ元従業員 未払い残業500万円要求 審判申し立て
https://mainichi.jp/articles/20180821/k00/00m/040/017000c
4、弁護士ドットコム
「クリスティーナがいいよ」本名関係ない名前で呼ぶ…エステサロンで人種差別的パワハラか
https://www.bengo4.com/c_5/n_8397/
関東圏の大手フィットネスクラブ内でエステサロンを経営する「スイート・ピア」 (本社・東京都渋谷区、高田知美代表取締役)で、過労死ラインを超える長期労働があったにもかかわらず、残業代が未払いであるなどとして、元社員の20代女性2人が同社を相手取り、賃金合計約500万円の支払いなどを求める労働審判を8月20日、東京地裁に申し立てた。
申立人の女性2人と代理人の指宿昭一弁護士らは同日、厚労省記者クラブで記者会見し、過酷な労働実態に加え、店長から人種差別的なパワハラがあったことを訴えた。申立人の1人で、ルーツがネパールというAさんによると、店長から「Aはハーフで日本語が片言だから、名前もカタカナがいいよ」と言われ、勝手に無関係の「クリスティーナ」という名札を作成されそうになったという。Aさんは、「意味不明で許せなかった」と涙をにじませた。
●「自分が働いた分のお給料をもらえないのがわからない」
申立書などによると、申立人2人は2015年、スイート・ピアに入社。「実働平均8時間」「月給22万円ー32万円」という求人広告にひかれて入社したが、実際には過労死ラインである月80時間を超える残業があるなど、長時間労働だったうえ、残業代が一切支払われていなかった。2人は退職したが、スイート・ピア側は固定残業代だとして、残業代の支払いなどを拒否したため、今回の申し立てに踏み切った。
また、月に1回、日曜日は閉店後に他店との合同会議に強制参加させられたが、交通費は支払われていないという。2017年4月までは、「他店リサーチ」として、従業員が他のエステサロンへ出向いて自費で施術を受け、レポートを作成することも強要されていた。これらの未払い分も求めている。
●女性店長「あなたはハーフだからわからない」
さらに、Aさんはパワハラによる謝罪も求めている。申立書によると、Aさんは在籍していた店舗で2016年7月に店長となった女性から、「あなたはハーフだからわからないだろうけど日本人は…」「日本では…こういうものだ」などという発言を日常的に受けていた。
また、2016年9月には、店長はAさんが仕事中に話すのを笑い、「Aは片言だから、名札もカタカナにしたらいい。そのほうがお客様も外国の人だとわかりやすい」と発言。「クリスティーナ」という本名とまったく無関係の名札に変更するよう言われたり、「クリスティーナ ミキティー」と書かれたバースデーカードを渡されたりした。
Aさんが店長に「なぜクリスティーナなのか」と聞くと、店長は「なんとなくそれがいいから」と答えたという。会見でAさんは、涙で言葉を詰まらせながら、「このときは、精神的に弱っていたので、何が正しいか考えられない状態でした。退職届も受け付けてもらえず、体調不良になって適応障害になった。自分が働いた分のお給料をもらえないのもわからないし、最後まで戦いたいと思います」と語った。
2人が加盟する労働組合エステ・ユニオンは「いまだエステ業界では、固定残業代制度を使っている企業が多く、残業代不払いが蔓延している」と強く批判した。弁護士ドットコムニュースが同日、スイート・ピアに取材を申し込んだところ、「担当者が不在なのでノーコメントとさせていただきます」という返答だった。追記:パワハラの内容について、一部誤りがありましたので、訂正してお詫びいたします(2018年8月21日13時)