たかの友梨ビューティクリニックの「エステティックサロン認証」取り消しと、エステ業界の反響について

日本エステティック機構HPトップ
■「エステティックサロン認証」取消の経緯
9月18日、認定NPO法人日本エステティック機構によって、たかの友梨ビューティクリニックの3サロンについて、「安心・安全なサロンの証明」とされる「エステティックサロン認証」が取り消されたことが明らかになりました。これに対して、賛同の世論がある一方で、エステ業界内では反発も強いようです。
※株式会社不二ビューティ(たかの友梨ビューティクリニック)3サロンの認証取消のお知らせ
http://esthe-npo.weblogs.jp/blog/2014/09/3-2eab.html
エステティックサロンの認証制度とは、消費者被害の未然の防止とエステティック産業の健全な発展を企図して、適正なサロンを識別し選択するための情報を提供するとされているものです。
この認証制度は、2002年に、経済産業省のエステティック産業適正化研究会において議論が開始され、同省が2007年に発表した『エステティックサロンの認証制度の在り方についての報告書』をもとに、2008年より実施されています。具体的には、第三者機関である認定NPO法人日本エステティック機構が、サロンの運営管理体制や集客・広告等の複数の基準に照らして、エステサロンの識別を行い、その基準を満たしたサロンに認証を付与するというものです。
たかの友梨ビューティクリニックは、全国で3店舗がエステティックサロン認証を受けていましたが、労基署の是正勧告を受けて一旦停止されており、今回取り消されるに至りました。同法人のHPによれば、取り消しの理由は以下の三点です。
・仙台労働基準監督署による労働基準法違反に基づく行政指導(2014年8月)がなされたこと
・企業コンプライアンスを無視したエステティック業全体の社会的信用を著しく低下させたと思われる同社代表取締役の発言(2014年8月)
・東京都による景品表示法に基づく行政処分(2013年3月)を受け当機構から認証の一旦停止処分を受けたこと
このように、業界団体がたかの友梨ビューティクリニックの労働法基準法違反を積極的に問題視し、さらに、高野友梨社長の発言を「エステティック業全体の社会的信用を著しく低下させた」ものであるとの見解を表明していることは、注目に値します。実際、この判断はインターネットを中心に反響を呼んでいるようです。
■労働問題が、サービスの質低下につながるという指摘
同機構は、この認証取消・一旦停止に先駆け、8月のたかの友梨ビューティクリニック仙台店に対する労基署是正勧告・行政指導を受けて、 たかの友梨ビューティクリニックだけでなく、認証サロン事業者全体に対して、労働基準法などの法令違反がエステのサービスの質の低下を招くとして、以下のように法令遵守を呼びかけています。
※「労働関連法令の遵守徹底のお願い」
http://esthe-npo.weblogs.jp/blog/files/140901.pdf
「エステティックサロン事業者が、労働基準法を始めとする労働関連法令に関する違法行為を容認または放置することは、良好な労使関係の維持を著しく困難にするばかりか、特にエステティックサービスにおいては大事なお客様に対するサービスの質の低下を招き、サロン経営の状況に多大な悪影響を与える大きな要因の一つになると考えられます。」
これは労働問題が、消費者問題の原因となるという非常に重要な指摘です。実際、私たちのもとに寄せられる情報提供のなかにも、エステティシャンが見るからに忙しそうで、施術中気持ちが休まらないという利用者の声や、疲労のため施術そのものがおろそかになってしまったというエステティシャンの声が相次いでいます。
■エステ業界からの強い反発の声
一方で、エステ業界内では、認証の取消という判断に対しての反発の声も強いようです。エステティック業界専門誌「エステティック通信」のウェブサイトに、9月20日付で以下の記事が掲載されました。
※エステ機構の「認証取消」判断に困惑の声
http://www.esthe-news.jp/posts/3579
本記事では、次のような業界関係者の発言が引用されています。
「あるサロン関係者は(私見としつつも)サロン認証制度の役割が消費者に対するコンプライアンスを意図している制度であり、今回の問題は消費者に対する法令違反ではないことから、制度の目的と法令違反の内容が合致しない点に疑問を呈している。」
「エステ業界のサロン認証制度はそこまでに厳格な制度であるという”広報”が功を奏せば、今後業界の信頼を高めることに繋がるであろう。しかし、これについては高野氏のスケープゴートによって成し得たという結果になっては業界の汚点となる可能性がある。」
記事の結論は、以下のように結ばれています。
「今回の資格取消騒動で最も多かった意見は、
「業界団体は私たちサロン(会社・従業員)を守ってくれる(気がある)のだろうか?」
顧客、就労者、そして企業と3者がてい立し産業は支えられるが、その3者の保護を果たして成す結果となったのだろうか。
業界団体の存在意義というテーマに一石を投じる判断になったようだ。」

認証取消について、両論併記はされていますが、基本的には疑問を呈する基調の文章となっています。それに、認証取消の発表からわずか2日後に、業界誌のウェブサイトでこうした基調の記事が掲載されたことじたいに、エステ業界内での反発の強さがうかがえます。
■エステ業界としての労働問題への取り組みが求められています
認証制度の意義や、今回の取消の判断・手続きなどについては、さまざまな議論があるようです。今回の対応が、単なる「スケープゴート」で終わってしまい、今後の改善につながらないようであれば、確かに残念なことです。
ただし、根本的な問題は、たかの友梨ビューティクリニックで明らかになった事例をはじめとして、エステ業界に労働問題が広がっているという現状があり、それに対して、エステ業界としての積極的な対応が求められているということです。日本エステティック機構が業界に労基法等の遵守を呼びかけたことは評価されるべきです。
このように、業界として積極的に労働環境の改善に取り組んでいくこそが、エステ業界の会社や従業員を守り、消費者に対するサービスの質の低下を防ぐための重要な基礎となるのではないでしょうか。
私たちエステ・ユニオンも、たかの友梨ビューティクリニックをはじめ、エステ業界全体の労働環境の改善に向けて、業界団体や経営者の方たちとの連携も視野に入れながら、取り組みを続けていきます。引き続き、ご支援をよろしくお願いします。

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